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2013年09月27日

二条城で楽しむ古典芸能

9月22日 二条城で楽しむ古典芸能 ~京一夜、国宝に浮かぶ能世界~と題して、二の丸御殿台所にて、能が演じられました。9-478.jpg
広くはないスペースに大勢の観客がびっしり、ほぼ閉じられた空間で、空調なし。あらかじめ、予測していたものの、結構暑い・・・。9-476.jpg
この日は、やっと出番を迎えた 能 忠度を描いた塩瀬の帯です。9-475.jpg
単衣の着物とはいえ、眩暈しそう。ひたすら「心頭滅却・・・火もまた涼し。」などと唱え続けて待ちます。
着物姿の門川市長も駆けつけ、ご挨拶。修復のためのご支援のお願いなど述べられて、退場。

【第一部】は、講演「和歌と能」冷泉貴実子さんです。
能「忠度」の解説と、冷泉家の祖にあたる藤原俊成にまつわるお話。すでに知っている内容が多かったのは、ちょっと残念。もちろん、お着物姿で、帯がなんとも素晴らしい!

【第二部】観世流能「忠度(ただのり)」 シテは片山九郎右衛門さんです。

森田 保美氏の笛が、重要文化財の中に響き渡り、暑苦しい閉塞感と空腹に朦朧としかけていた意識を呼び戻しました。

ワキ方 出家した藤原俊成の身内が登場です。

急ぎ候ほどにこれははや津の国 須磨の浦に着きて候、
しばらくこの所に休らひ花のさまをながめうずるにて候

(はいはい、ここははや須磨の浦。さわやかな浜風がその頬をなで・・・。)って想像してみると、わずかに風が!と思いきや、近くの観客の扇子による風でした・・・。

忠度が都落ちの際、俊成のもとを訪れ、和歌を託した事、その歌が朝敵であるが為に、「千載集」に読み人知らずと記載されたのが無念である事、平家が合戦に敗れ、忠度が討たれた様子、などが語られてゆきます。

終曲に際して、

おん身この花の、陰に立ち寄りたまひしを、かく物語申さんとて、
日を暮らし留めしなり、いまは疑いよもあらじ、
花は根に帰るなり、わが跡弔ひてたびたまへ、
木陰を旅の宿とせば、花こそ主なりけれ

と地謡が、入ります。

僧がこの花の影にお立ち寄りになったので、このように日を陰らせて夜にして、引き止めたのです。
いまはもう疑問の余地もありません。わたくしこそが、この花の下に眠っている忠度なのです。
花が根に帰るように、わたくしもこの花の下に帰ることにいたします。どうぞ、わたくしを弔っていただきたいと思います。
「木陰を旅の宿とすれば、花がその宿の主」と詠みましたが、この花の主(今宵の宿の主)は、ほかでもないわたくし忠度なのです。

という現代語訳になります。
この中の「花は根に帰るなり」という箇所は、千載集の和歌から、引用されています。

花は根に 鳥は古巣に 帰るなり
    春の泊まりを 知る人ぞなき
                    崇徳院
春が終われば、花は根に、鳥は古巣に帰るという。でも、春の帰り着くところを知っている人はいない。いったいどこに泊まっているのであろうか。という崇徳院の惜春の歌です。
美しい~。院のお歌は本当に趣があって、素敵です。
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暑ささえ忍べば、素晴らしい舞台でした。 アンケート用紙に今後観たいものがあればと書かれていましたが、二の丸御殿といえば、大政奉還のシーンを再現してほしいような・・・。徳川 慶喜が亡霊となって現れ、無念の思いを語るなんて能の演目もない事ですし・・・。

2013年09月25日

第49回「上京薪能」

9月20日 金曜日 
第49回「上京薪能」が白峯神宮で行われました。
第二部の開演に、なんとか駆けつけました。9-489.jpg
麗調会    箏演奏 「比良(ひら)」
幸流     独調  「屋嶋(やしま)」
金剛流    仕舞  「笠之段(かさのだん)」
観世流    舞囃子 「小袖曽我(こそでそが)」
大蔵流    狂言  「飛越(とびこえ)」
観世流    能   「天鼓(てんこ)」

フラッシュ撮影は、演目の妨げになるのでおやめくださいとのアナウンスがありました。え!それってフラッシュなしならOKという意味でしょうか?そこそこ撮ってらっしゃる方もあり、特にお咎めもないので、持参したコンパクトカメラで、撮影してみました。おっきいの持ってくればよかった・・・。(以下、手振れが激しい撮影となりました。)

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狂言は、千三郎さん予定だったのですが、急遽、逸平さんに代わられたとの事。

観世流 能 「天鼓」
ワキは、原 大さんです!9-487.jpg
この演目は、ずっと観たいと思いながら、機会に恵まれなかったものです。

天から授かった鼓と共に成長した天鼓は、鼓を差し出すようにという帝の命に背き、山中に隠れます。すぐに捕らえられた天鼓は呂水に沈められ、鼓は宮中へと。しかし主を亡くした鼓はいっこうに鳴りません。天鼓の父が打てば鳴るであろうと宮中に老父が召し出されます。

シテは、河村晴久さん9-486.jpg
亡き子を思う父は、宮中に上がり、薄氷を踏む思いで鼓に近づきます。打つと、鼓は妙音を発します。老父は後ずさって、撥を取り落とし、崩れるように座り込みます。

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やがて管弦講の弔いが行われると、天鼓の亡霊があらわれ、弔いに感謝し、無心に鼓を打ち鳴らし、舞を舞います。そこには、現世の怨恨などの情念などはなく、ただひたすら解放された精霊の姿があるのみ・・・。
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十六夜の月も舞殿の後ろに上がってきました。9-483.jpg

月の光に照らし出されて・・・だと風情もひとしおなのですが、舞台用スポットライトに照らされて、面がまぶしい感じです。9-482.jpg9-481.jpg
崇徳院も几帳の後ろから、ご覧になっていらした様子。
今年も良いお天気でよろしゅうございました。
至福のひとときをありがとうございました。9-480.jpg
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2013年09月21日

『夏の終り』

コロコロコロッケパンを食べて、カレースープまで飲んでおいて、観に行った映画は、『アタル劇場版』ではなく、『夏の終り』です。

満島ひかりは、このところお気に入りの注目女優ですし、はまり役すぎる小林薫に旬の綾野剛というのもやっぱり観ておこうかしらんと思い、台風の余韻漂う中を出掛けました。

事前に取り急ぎ、原作の瀬戸内寂聴筆の「夏の終り」を読んでゆきました。これが幸いしたようです。
読んでなければ、ストーリーの中に、過去が断片的に挿入されていく感じが、混乱を招く結果になったように感じました。
説明的な要素を意図的に省いている感があり、セリフも少なめで、空気で理解してねといったニュアンスです。
どうも、「夏の終り」をはじめとする「あふれるもの」「みれん」「花冷え」「雉子」の連作5篇などを読んでいたり、寂聴さんの自伝を知っていたりする前提のもとに観る映画という感じです。

その方が、交錯する現在と過去がすんなり理解出来て、原作や映画の醸し出す空気感に入り込みやすいようです。

坂道の左右の道へ、それぞれが隣り合わせで前方に向かって歩きながら、上下に別れていく様子は視覚的におもしろい感じでした。
部分的に、時間が止まっている演出も、結構好きです。

少し前の(結構前の?)時代の日本の風景と着物姿がとってもノスタルジックで、そそられます。やけにタバコを吸っているシーンが多いと感じるのも、時代の流れですね~。

登場人物3人と、画面には出てこないが存在している小説家・小杉(小林薫)の妻、それぞれの思いが、それぞれに解るようでもあり、息苦しく感じられました。
満島ひかりが演じる相澤知子が、年下の元駆け落ち相手で、再び関係を持つようになった木下涼太(綾野剛)に、「僕にはどんな感情があるんだと迫られて「憐憫よ!」なんてのたまうあたりや、涼太の家からの帰り道に「うるさい・・・」とか、独り言を言い放つあたり、寂聴さんだ~て思って、笑ってしまいました。
染織作家である知子の藍染作品や型紙が、また視覚的に情念が感じられて、いい演出効果があったようです。
やっぱり日本映画はいいな~。

2013年09月18日

コロコロコロッケとカレースープ

TBS系で放送されていた中居正広主演のテレビドラマ『ATARU』(アタル)が、劇場版として公開されたことを記念して、セブン‐イレブンでは、ATARUカレースープがもらえるキャンペーンが行われています。
オリジナルパン一つとボス 缶コーヒー一本で、先着150万名様にアタルのカレースープ1個プレゼントというものです。
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コロコロコロッケパン目当てに行ったのですが、ボンボンメンチカツパンも捨てがたく、結局2セット買ってしまいました。なんてミーハーなんだ!

こちらが、カレースープ9-492.jpg
アタル君のキャラデザインが可愛い。9-491.jpg
確かにカレースープです。9-490.jpg

2013年09月12日

重陽の節句 鶴屋吉信

法輪寺さんからの帰り道、鶴屋吉信さんに立ち寄りました。9-496.jpg9-495.jpg
重陽の節句のしつらえです。9-497.jpg9-498.jpg
菓子は、お節句にちなみ、御園菊(みそのぎく)9-500.jpg
桔梗9-499.jpg
美味しゅうございました。

自宅に戻って、晩御飯は、松花堂弁当を作ってみました。9-494.jpg

菊の花びらを浮かべた菊酒、おさしみ、菊花を入れた白和え、鯛の焼き物、かぼちゃの蒸し物、筍の磯部揚げ、風呂吹き大根 菊花あんかけ、栗赤飯、菊花お吸い物です。ま、かなり出来合いも混じっているので、手抜きですが・・・。
お節句を満喫した一日でした。

2013年09月10日

重陽の節句 法輪寺

9月9日 連日の雨が上がり、さわやかなお天気となりました。
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「重陽の節会」 嵐山の法輪寺に参拝しました。8-020.jpg
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展望台からは、市内を眺望出来ます。
真近に見える鳥居8-018.jpg
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望遠レンズで確認した大文字8-016.jpg
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こちらの本堂内で、お節句の法要と舞囃子などが行われます。
雅楽から始まり、読経とのコラボ!8-013.jpg8-012.jpg
菊花が配られ、献花8-011.jpg
舞囃子の前に、おざぶや、さい銭箱などが、かたずけられ、お舞台スペースを空けるために、正面に座っていた人々に、退却指示!廊下に出る羽目になってしまいました。
舞囃子は金剛流「枕慈童」8-010.jpg
シテの宇高 通成(うだか みちしげ)氏は、龍馬に道を説いたり、琵琶湖疏水工事記録画を作成したりした河田小龍の曾孫でらっしゃいます。子息の竜成( たつしげ)・徳成(のりしげ)氏も地謡で参加されています。8-009.jpg8-008.jpg8-007.jpg8-006.jpg8-005.jpg
舞の後は、菊酒が振る舞われます。お酒はたっぷりありますからというご案内にもかかわらず、押すな押すなの騒ぎです。8-004.jpg
菊の被綿(きせわた)8-003.jpg
前の晩に菊に綿を被せておき、これに降りた露で身体を撫で拭くと、長寿になると云われています。

菊慈童8-002.jpg
とても美しいお顔立ちです。


菊酒を頂き、不老長寿になったようなさわやかな気分になりました。
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この日のコーディネートは、紺の絽の着物に、菊に桔梗・撫子などの絽の帯に菊の帯留でした。8-022.jpg

2013年09月07日

京都市学校歴史博物館

大河ドラマも京都が舞台となって、興味深いこの頃です。
山本覚馬が、岩倉具視の指示によって釈放された明治2年(1869年)、京都では、日本で最初に番組小学校とよばれる学区制の小学校が64校つくられていました。
文部省の明治5年の「学制」頒布より3年先だって作られています。京都の小学校は、政府の学校制度によってつくられたものではなかったのですね~。
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この京都独自の小学校の設立に興味を覚え、御幸町通仏光寺下るにある京都市学校歴史博物館を訪れてみました。8-033.jpg
お向かいも、時代を感じるお店が並んでいます。8-028.jpg8-027.jpg

門をくぐり、グラウンドの向こう側に、旧成徳小学校玄関車寄せが移築された入り口が見えます。8-032.jpg
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大政復古の前から、西谷淇水(にしたに・きすい)という寺子屋経営者(教育家)や画家の森寛斎、幸野楳嶺、文具商の鳩居堂の熊谷直孝らが集い、寺子屋を近代化する方策を検討し、1867(慶応3)年から翌年にかけて、奉行所と新政府に対し、小学校の設置を建白しています。

それまであった戸数にばらつきのある自治自営の町組の組織を編成替えし、戸数を平均化した町ごとに小学校を設立。児童教育の場としてだけでなく、町組会所であり、消防署、警察署でもあり、時刻を知らせる時報台でもあり、役所の役割も担っていました。
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天皇が江戸に行幸されたまま戻られないという青天の霹靂の事態に、さびれる京都の再興は人づくりにあると考えた町衆の働きが、大きな力となり、京都の近代化が進んでいったのですね。もちろん、初代知事の長谷信篤や、二代目府知事となる槇村正直ら京都府の役人の尽力も大きかったようです。

常設展示は、幕末から戦後の教育にいたる資料の他、学校給食のあゆみの展示もあって「そうそう、こんなん食べてた!」と思わず声を出してしまったりして、楽しいものでした。
企画展は、「学校のたからもの」と題して、文芸を磨くことを重視した小学校教育を受けた卒業生が後に学校に寄贈した貴重な作品が展示されていました。
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常設展示の中に母校の火の見櫓が出ていたので、懐かしくなり写真を撮りに行きました。8-025.jpg
元有済小学校 太鼓望楼 明治9年(1876年)築
現在、鉄筋校舎屋上にある望楼は、かつて正午の時を告げる太鼓場であり、学区内の火事を見張る火の見櫓であった。
写真の建物があった場所には、現在消防団の建物がある。
平成17年2月国登録有形文化財となった。

                         常設展の展示説明より

2013年09月05日

菊の帯留

来週9月9日は、重陽の節句です。今年は月曜日にあたるので、お節句の行事に参加出来そうです。
大急ぎで、菊コーディネートを検討してみました。
頭に大きな菊の花の髪飾りなど付けてみたいな~とか思ったのですが、年齢を考慮すれば、それもままならず(^^)
せめて、菊の花の帯留にしようと探してみました。8-036.jpg
予算の都合で、樹脂製に・・・。デザインはリアルですが、かなり樹脂っぽいかも?
ちょっと、色塗って、象牙風に見えるよう細工しようかしらん?それよりはリアルに彩色してしまった方がいいかも?と考えて、アクリル絵の具で、塗ってみました。8-035.jpg
リアルだけど、なんかマットで、寒々しい・・・。いったん、乾かして、金彩をプラス。
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ま、いいか(^^)

2013年09月04日

伊藤若冲の名品展

9月29日まで、相国承天閣美術館にて、『伊藤若冲の名品展』が開催されています。8-039.jpg
重要文化財となっている「鹿苑寺(金閣寺)大書院旧障壁画五十面」が展示されているとの事で、観に行ってきました。
現在、仙台でプライスコレクションが開催されていて若冲の作品が話題を呼んでいます。京都には、平成18年に来ていたコレクション展ですが、観に行けなかったのが残念です。若冲の作品は、ちょこちょこあちこちで観ていたり、画集を観ていたりして、最近ではなじみ深くて、どの作品を現物で観たのか、よくわからなくなってきた感があります。8-038.jpg

今回の展覧会は、確かに初めて観た作品がそこそこあって、やっぱり観に来て良かったなと思えました。