2013年09月27日
二条城で楽しむ古典芸能
9月22日 二条城で楽しむ古典芸能 ~京一夜、国宝に浮かぶ能世界~と題して、二の丸御殿台所にて、能が演じられました。
広くはないスペースに大勢の観客がびっしり、ほぼ閉じられた空間で、空調なし。あらかじめ、予測していたものの、結構暑い・・・。
この日は、やっと出番を迎えた 能 忠度を描いた塩瀬の帯です。
単衣の着物とはいえ、眩暈しそう。ひたすら「心頭滅却・・・火もまた涼し。」などと唱え続けて待ちます。
着物姿の門川市長も駆けつけ、ご挨拶。修復のためのご支援のお願いなど述べられて、退場。
【第一部】は、講演「和歌と能」冷泉貴実子さんです。
能「忠度」の解説と、冷泉家の祖にあたる藤原俊成にまつわるお話。すでに知っている内容が多かったのは、ちょっと残念。もちろん、お着物姿で、帯がなんとも素晴らしい!
【第二部】観世流能「忠度(ただのり)」 シテは片山九郎右衛門さんです。
森田 保美氏の笛が、重要文化財の中に響き渡り、暑苦しい閉塞感と空腹に朦朧としかけていた意識を呼び戻しました。
ワキ方 出家した藤原俊成の身内が登場です。
急ぎ候ほどにこれははや津の国 須磨の浦に着きて候、
しばらくこの所に休らひ花のさまをながめうずるにて候
(はいはい、ここははや須磨の浦。さわやかな浜風がその頬をなで・・・。)って想像してみると、わずかに風が!と思いきや、近くの観客の扇子による風でした・・・。
忠度が都落ちの際、俊成のもとを訪れ、和歌を託した事、その歌が朝敵であるが為に、「千載集」に読み人知らずと記載されたのが無念である事、平家が合戦に敗れ、忠度が討たれた様子、などが語られてゆきます。
終曲に際して、
おん身この花の、陰に立ち寄りたまひしを、かく物語申さんとて、
日を暮らし留めしなり、いまは疑いよもあらじ、
花は根に帰るなり、わが跡弔ひてたびたまへ、
木陰を旅の宿とせば、花こそ主なりけれ
と地謡が、入ります。
僧がこの花の影にお立ち寄りになったので、このように日を陰らせて夜にして、引き止めたのです。
いまはもう疑問の余地もありません。わたくしこそが、この花の下に眠っている忠度なのです。
花が根に帰るように、わたくしもこの花の下に帰ることにいたします。どうぞ、わたくしを弔っていただきたいと思います。
「木陰を旅の宿とすれば、花がその宿の主」と詠みましたが、この花の主(今宵の宿の主)は、ほかでもないわたくし忠度なのです。
という現代語訳になります。
この中の「花は根に帰るなり」という箇所は、千載集の和歌から、引用されています。
花は根に 鳥は古巣に 帰るなり
春の泊まりを 知る人ぞなき
崇徳院
春が終われば、花は根に、鳥は古巣に帰るという。でも、春の帰り着くところを知っている人はいない。いったいどこに泊まっているのであろうか。という崇徳院の惜春の歌です。
美しい~。院のお歌は本当に趣があって、素敵です。
暑ささえ忍べば、素晴らしい舞台でした。 アンケート用紙に今後観たいものがあればと書かれていましたが、二の丸御殿といえば、大政奉還のシーンを再現してほしいような・・・。徳川 慶喜が亡霊となって現れ、無念の思いを語るなんて能の演目もない事ですし・・・。
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- by zuzu
- at 13:17
- in 015コンサート・観劇
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