2012年09月22日
2012 第48回上京薪能
9月21日 白峯神宮秋季例大祭が執り行われました。夕刻よりは、観世流と金剛流の能楽と大蔵流の狂言等が、薪の中、特設舞台で催されますが、今年は、平家物語を主題に、とりわけ白峯さんの御祭神である崇徳院にまつわる演目が上演されるとあって、心待ちにしていました。
前売り券をこちらで購入する際にお参りして、崇徳院にくれぐれも台風など呼ばないで下さいねと、申し上げておいたのがお聞き届け頂いた訳でもないでしょうが、今年は、無事さわやかなお天気と相成り、着物でも過ごしやすかったです。単衣の小紋に烏帽子と扇の帯を合わせました。
一部はお社中による舞台、私は仕事を終えて、二部に間に合いました。
火入式が行われ、雰囲気が出てきました。
邦舞 「屋島官女」からです。平家が壇ノ浦で滅びた時に、そこに留まり、海女となって、魚を売ったりして生計をたてていた元官女たちを主題としたものです。こういう人たちもいたのだなと情景が浮かぶようです。
平家物語にまつわる演目が続き、最後が金剛流 半能「松山天狗」です。
観世流では平成6年に復曲した際、少しアレンジされたそうですが、金剛流では、明治に既存の台本のまま復曲させたという話です。
西行法師が、保元の乱に敗れ讃岐の松山へ流された崇徳上皇が崩御されたとの知らせを聞いて跡を弔うために訪ねていって、詠歌を手向けるまでが、第一場ですが、今回は、半能なので、その前半を軽く語って、第二場となります。
中央の山の作物の中から崇徳院が西行に声を掛けます。
「いかに西行。これまで遥々下る心ざしこそ、返す返すも嬉しけれ。
又唯今の詠歌の言葉、心に染みて面白さに、いでいで姿を現さんと、」
わくわくしながら見守る中央の作物の引廻が解かれ、院がそのお姿を現されます。
崇徳院が乗り移ったりなさらないものかしらんと、ドキドキしてしまいます。
もしかしたら、面を付けた時にすでに、うつられたやもとか考えるのは、私だけでしょうか。
囃子方も一層熱を帯び、院は舞を舞われるうちに、憂き事を思い出されて、ふと激しいご様子となり・・・。
天狗たちが現れ、院の荒ぶる気持ちに呼応して舞い踊り、院も喜ばれて御言葉を掛けられ、天狗たちは、頭を地につけ拝し奉り、これまでなりと・・・、明け行く空も白峯の、明け行く空も白峯の梢に、また飛び翔って、失せにけり。
気持ちが高揚したまま、舞台裏に隠れた拝殿にお参りして、帰ってまいりました。帰り際、全員着物姿の外人さん方が目に留まりました。皆さん上手に着こなしてらっしゃって、素晴らしかったです。
- by zuzu
- at 14:27
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