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2011年02月01日

小泉淳作展

高島屋で開催されていた『平城遷都1300年 光明皇后1250年御遠忌 東大寺本坊襖絵完成記念  小泉淳作展』(1/6~24)を観ました。

建仁寺の龍を描いた人で、今回は東大寺本坊の襖絵をメインとした展覧会です。

政治家小泉策太郎の七男として鎌倉市で生まれ、俳優小泉博は弟にあたります。山本丘人に師事し、1952年東京藝術大学日本画科を卒業。その後デザイナーとして活動し、陶芸家としても注目されたそうです。日本画家として注目を浴び始めたのは、50歳頃からで、ここのところ、建長寺・建仁寺の天井画をはじめとする、大作を制作しています。
2006年に完成した『聖武天皇御影』『光明皇后御影』は実際のモデルに当時の装束を考察、再現して着せてみて、メーク・結髪も行い、描かれたものです。381.jpg
写生をせず、写真をもとに絵を描くことは好ましくないという観点で、確かにその通りだとは思うのですが、ちょっと耳が痛い話です。二眼レフなるものがあればいいのではないかしらん?という問題ではもちろんありません。380.jpg
大広間の襖全面に描かれた『蓮池』の蓮の花は43ほどあり、全部違う種類を描いたそうです。その違いを前面に出すと蓮の品評会のようになってしまうので、手直ししながら仕上げたということです。
この東大寺本坊大広間の前庭には蓮池がある様子で、実際の場所で観てみたいと思いました。東大寺では、4月5日(火)から10日(日)の間、一般公開される予定で、桜のライトアップもあるようです。(月曜だけ外されてしまったのはなぜ?!)
『吉野の桜』383.jpg
『東大寺本坊の桜』382.jpg
桜の花びらは一つ一つ描いたもので、賽の河原の石を積むようなものだったようです。画面が大きく画面の上を自分が移動しながら描いてゆくのですから、そんな感覚になってゆくのでしょうね。
『東大寺本坊の桜』部分377.jpg
桜の木の上から、地面が重ね塗られたようで、木が透けているかのような透明感があるのは、なぜでしょうね。
桜の大作は、この他に『しだれ桜』があります。月が出ていて、西行さんの「願わくば花の下にて春死なん其のきさらぎの望月の頃」といった風情です。
『墨蕪図』
378.jpg
1992年のこの作品は、銅版画のような空気感で、墨を駆使したこの人の個性を強く感じる作品だと思いました。建仁寺の龍もこの流れにある作品だと感じます。これらに比べ、今回の襖絵は、ちょっと違う作品群のようです。発注者の意向を踏まえた上での制作という事もありますが、氏の新しい世界が開けたようにも感じました。

『東大寺別当清水公照師像』379.jpg
VTRの映像で、この別当を見かけ、特徴がよく出ているように思い、ちょっと愉快になりました。

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