2010年09月22日
第46回 上京薪能
9月21日、今出川堀川東入るにある白峯神宮において、第46回 上京薪能が催されました。御祭神である崇徳天皇・淳仁天皇の霊をお慰めし、京の文化遺産を継承するために昭和34年より、境内にて開催されています。
能、狂言、舞楽に筝曲という多彩な古典芸能が繰り広げられます。第1部は午後4時開演で、各社中の方の日頃の練習成果発表といった感じで、第2部は、午後5時45分より挨拶と火入れ式に始まってプロによる演目となります。
文化振興会会長と上京区長の挨拶で、少しは両天皇に係るお話があるかと思ったのですが、そのあたりは完全にスルーされてしまったのが、個人的には物足りないところではありました。
いちひめ雅楽会による舞楽は、「打球楽」という演目で、平安時代に行われていたポロのような球技(打球)の姿を舞にしたもので、球技全般の守護神でもある白峯さんらしい演目でした。平安の御世を彷彿とさせる雅な姿に、うっとりしてしまいました。
筝曲の演奏は、十七弦と尺八を交えての「琉球民謡による組曲」というもので、沖縄のメロディーを琴で聞く珍しい演目で、楽しめました。
観世流・金剛流の仕舞や舞囃子のあと、狂言は大蔵流の「因幡堂」、エンディングは観世流能「殺生石 白頭」でした。
鳥羽院の寵愛を受けた玉藻前の話は以前に取り上げましたが、その正体をあばかれ、逃げた那須野で、その執心が殺生石となり、生き物の命を奪い続ける事を取り上げた物語です。
この演目を観たのは初めてでしたが、唐織の着流し姿の中に鱗模様の摺箔が怪しく光る前シテは石魂という設定のため、ほとんど動きがないのですねぇ。
(上演さなかに毒が回って、座ったまま亡くなったのではないかしらと京都サスペンス的妄想が頭をよぎってしまいました。縁起でもない発想で、すみませんm(_ _)m
崇徳天皇を叔父子といって嫌った鳥羽院の寵愛をうけた玉藻前を演じている訳ですから、崇徳天皇の執心が舞い降りてきて・・・。などと、バカな事を考えているうちに、前シテは立ち上がり、舞台から消えてゆきました。)
月の光が松の間から差し込み、蒸し暑かったものの美しい夜でした。上演はつつがなく終了し、舞台に隠れてしまった本殿に回り、崇徳天皇に御相伴にあずかり、この上ない幸せでございましたと感謝の意を表してから帰途につきました。
- by zuzu
- at 14:30
comments
ぜんぜん知りませんでした。
薪能関係は、戦後始まった頃はよく行きましたが、盛大になって高く且つうるさくなってからは敬遠しています。
基本的に好きですから、手近でこんな催しがあったのならちょっと覗いてみたかったですね。
私も上京区民になってから知りました。区内にはポスターも張り出されています。
前売り1500円・当日2000円と、お値打ち価格です。
雨天の場合は金剛流能楽堂で、催されます。