2010年09月20日
奈良絵本・絵巻の宇宙展
思文閣美術館において、11月7日まで、「奈良絵本・絵巻の宇宙展」が開催されています。
室町時代後期から江戸時代中期にかけておびただしく製作された絵入の本や絵巻があります。素朴なその挿絵は、「奈良絵」の名で呼びならわされ、珍重され、そうした挿絵をもつ本を「奈良絵本」というようになったそうです。
奈良の絵師達の手によって製作されたためともいわれていますが、実際は奈良に限られていたわけでもなく、その由来の解明はなされないまま今日に至っているようです。
絵本の原点といえるそれらに描かれた題材は、平安時代の王朝物語、中世の軍機物語、室町時代から江戸時代初期にかけて流行した幸若舞曲など様々ですが、最も多いのが、奈良絵本・絵巻の制作時期と同じ頃に成立した御伽草子です。
一寸法師やものぐさ太郎、鉢かつぎ姫などの物語が絵と文字で構成された作品が多く展示されていました。文字はよう読みませんが、絵の方はよく知ったストーリーなので十分楽しめます。
ここ数年で研究が進んだそうで、署名のないこれらの絵本・絵巻の制作者が数名わかってきたようです。
女性作家の居初つな(いそめつな)という人物が、女性初の絵本作家として、発見されました。彼女の描く鉢かつぎ姫は、顔が見えず、すっぽり鉢を被った姿ではなく、帽子のように鉢が頭の上に乗っかった感じで、かわいらしいものでした。
- by zuzu
- at 09:06
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