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2009年10月28日

鈴木其一

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細見美術館の琳派展XII 「鈴木其一 ― 江戸琳派の風雲児 ―」前期の部を観てきました。

琳派の幕開けは江戸初期、俵屋宗達と本阿弥光悦の出会いに始まり、尾形光琳・乾山とその作風を継承した酒井抱一へと移り、その門下筆頭の弟子 鈴木其一へと受け継がれ、変化してゆきます。

その軽やかな優美さと斬新さは、気持ちを高揚させてくれるように思います。

文読む遊女図 p8168.jpg
其一の軽快な人物描写に師の抱一の漢詩と俳句が添えられた師弟合作の作品です。

雪中竹梅小禽図 双幅p8167.jpgp8166.jpg
吹きつけられた胡粉(ごふん)が平坦な画面から少し盛り上がっていて、あたかも今この画面に雪が降りかかったかのようです。

歳首の図p8164.jpg
賑やかな描表装とシンプルな本紙のからみ具合がユニークでめでたい作品です。

糸瓜に朝顔図p8165.jpg
真ん中に据えられた糸瓜と単純化された朝顔、細やかな蔓の流れが美しくもユーモラスな印象を受けます。
弓張月図p8163.jpg

天皇を脅かした鵺(ぬえ)を射落とした源三位頼政は近衛天皇から、獅子王という御剣を賜りました。

取次ぎの任にあたった左大臣藤原頼長は、頼政にむかってこう詠みました。

「ほととぎす名をも雲井にあぐるかな」

(ほととぎすが空高く鳴き声を立てているが、それと同様に
そなたも宮中に武名をあげたことよ)

これに対して頼政は、すぐさまこう受け答えしました。

「弓はり月のいるにまかせて」

(弓を射るにまかせて、偶然にしとめただけです)と謙遜したという文武両道に秀でた頼長の逸話を描いています。

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