2009年05月28日
在原業平 邸跡
5月28日は在原業平の命日です。晩年を過ごしたとされる大原野の十輪寺では業平忌が営まれます。
十輪寺を訪れようと考えていたのですが、ちょっと遠いので、中京区間之町御池の東南角にある史跡を眺めて、平安のプレイボーイを偲ぶ事にしました。(怠慢!)
平安末期の鴨長明の著した「無名抄」に、業平の住まいは、三条坊門(御池通)より南、高倉より西にあったと記されているそうです。
父は平城天皇第一皇子の阿保親王、母伊都内親王は桓武天皇の皇女で、臣籍降下して在原氏を名乗りました。歌人として有名で、六歌仙、三十六歌仙のひとりです。また『伊勢物語』の主人公ともみなされています。元慶4年(880)5月28日、56歳で亡くなり、遺言により、吉田神楽岡に葬ったと伝えられています。吉田山山上の竹中稲荷神社の裏に、塚があるそうです。
ちはやぶる 神代も聞かず 龍田川
からくれなゐに 水くくるとは
小倉百人一首には、この歌が収められています。
個人的には、次の歌が好きです。
世の中に 絶えて桜の なかりせば
春の心は のどけからまし 『古今集』
能の演目にもよく登場しています。
「井筒」「雲林院」「杜若」「隅田川」などです。
狂言の「業平餅」は結構、愉快です。
6月1日の平安神宮の薪能では、「杜若」が演じられる予定です。
唐衣 きつつなれにし 妻しあれば
はるばる来ぬる 旅をしぞ思ふ
火入れ式の後の演目となり、日の刻々と落ちる中、薪の明かりの強まる頃ですから、とっても幽玄で、趣のある感じになるはずです。
業平の冠をつけ、伊勢物語に出てくる唐衣を着て舞うシテは、杜若の花の精でもあり、業平その人でもあり、高子の后でもあり、歌舞の菩薩の化現でもあるという4重の映像が、薪の中に揺らめくことになります。
薪能ファンとしては堪りません(^^)。ひたすら雨の降らぬよう祈りつつ、心待ちにしているところです。
- by zuzu
- at 09:02
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