2008年09月18日
「おくりびと」
9月15日 映画「おくりびと」を観ました。
所属楽団オーナーの「解散!」の一言で、お払い箱になり、チェロ奏者の夢をあきらめ、故郷の山形に妻(広末涼子)を伴い、帰ってきた大悟(本木雅弘)は亡き母がスナックをしていた家で、職探しを始める。〔旅のお手伝い〕という好条件の求人広告を見つけ、面接に向かうと社長の佐々木(山崎努)に即採用される。「えっ! あの、仕事内容は?」安らかな旅立ちのお手伝い!すなわち、遺体を棺に収める仕事。えぇ~! 戸惑う大悟。周りの拒否反応。葛藤しながらも、さまざまな別れの場面と向き合ううちに、納棺師の仕事に誇りを見いだしてゆく。
監督は『壬生義士伝』の滝田洋二郎さん、人気放送作家の小山薫堂さんの初の映画脚本によるものです。
死と向かい合う重いテーマの中にも、笑えるシーンもさらっとセンスよく、やっぱり泣けるところもしっかりあって、いい感じの映画でした。
モックンが真摯なまなざしでみせる美しい納棺の所作は、必見です。オーケストラの中に溶け込んでしまって違和感なく、チェロを弾く姿も、なかなかでした。山崎努さんはしっかりとした存在感と趣があり、余貴美子さんは、私の好きな女優さんで、いつもの独特の雰囲気がありました。近頃あちこちの脇役でお目にかかる笹野高史さんも、泣き笑いさせてくれました。広末さんも、しっとりして、今後が楽しみです。
久石譲さんの音楽と山形の風景が、澄んだ空気感を出していて、死臭漂う中に清浄な風を送り込みます。
封切られて間なしの祭日とあって満席状態で、見渡すと、年齢層かなり高めでした。テーマがテーマだけに、無理もありません。
エンバーミング(遺体衛生保全)のマンガや、ドラマも少し前に話題になりましたが、この人生最期の時を美しく保つというお仕事には、少しばかり興味関心があります。生きている人々を、美しくするだけでは、飽き足りなくなったという訳でもないのですが…。
- by zuzu
- at 09:51
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